栽培テスト中です!
灌水コントロールユニットについて
現状の調整バルブと家庭用タイマーだけでは微妙な灌水調整が出来ないので良い方法を考えてきました。
新規にコントロール装置を考えるにあたり、れき太郎システムだけでなく施設栽培にも使えるような物を考えてきました。 昨今はAIやIotといった装置が出てきていますが、大規模ハウス向きですね。 価格は調べていませんが、それなりの金額かと思います。
そこで最低限の灌水コントロールが出来る装置を考えることにし設計を開始しました。
開発のコンセプト
開発目標:一般作物だけでなく昨今流行の高糖度トマトも出来る様に微量灌水が可能であること。
高糖度トマトはフルーツトマト言う名でスーパー等で見かけると思います。作るにはは水分を極限まで制限して糖度を上げます。
「高糖度トマト」を作るには、果実肥大期に灌水量をできるだけ少なくし、水分ストレスを与えるのが一般的です。
他の方法としては浸透圧により根が水分を吸えなくする方法がありますが、一般的には管理が難しいと思います。
トマトが枯れない極限まで水分量を抑える栽培技術はプロでもなかなか難しく、水やりは定植後活着するまでは通常量で育ます。
一般的に開花後第1果房第1果が結実してピンポン玉大になる頃から灌水を制限していきます。
概ね1株に対して1日に水250mℓから350mℓ程度で晴天日には行い、曇天日や雨天日はできるだけ灌水を行います。
但し状況によって灌水量の調整を行います。 これを的確に判断し灌水量を調整するのは面倒ですね。
テスト栽培中の桃太郎
水分センサー
そこで水分センサーで培地内の水分を測定し灌水量を調整出来ないかと考えました。
トマトの葉が萎れる程度の水分量を維持するようにコントロールします。
れき太郎システムの6号ポットで、ポットの中央部分にセンサーが入るようにしてあります。 これはポットの上部で測定すると、ポット内の下の方に水分が多い場合があるからです。
ポットの中央部分にセンサーを取り付けることで培地の上下の差を防げるようになります。
このセンサーにより灌水開始のタイミングを判断します。
水分センサー装着ポット
時限タイマー
水分センサーで培地内の水分が設定値に達した時にポンプが作動し灌水が始まります。
通常の灌水では流量が多いので、せっかく水分を減らしたのですが一気に水分量を増やしてしまいます。
そこで灌水ノズルから微量の点滴灌水により、ポット上部から微量の溶液を落とすことで回避します。
そこで灌水開始から常時溶液を流し始めるのではなく、時間を区切り設定上限の水分量を検知するまで微量の溶液を落とすことを繰り返す仕組みにしました。
超微量灌水のためには流量調整バルブを絞れば良さそうですが、それでも1秒間に1滴程度が限界です。それにより詰りの発生も起こりやすくなります。
水1滴は0.05mℓです。1日に250mℓを灌水するには5000滴落とすことになります。
点滴の間隔は17秒に1滴となります。これは流量調整バルブでは不可能です。
そこでバルブが詰まらない程度の滴下量をタイマーでONとOFFを繰り返し滴下量を調整します。
調整バルブの最少滴下間隔は1秒に1滴とすると例えば170秒に10秒灌水すれば良いことになり、85秒に5秒灌水することで灌水量は1日に250mℓになります。
それでも、その日の天気によって灌水量を調整したいので、水分センサーと組合せ、50秒タイマーOFFし10秒ONにする設定にし、多い時はセンサーにより灌水を休止させます。
多量灌水の場合、培地内の水分量は急激に増え、その後底面付近に水分が集中してしまいます。
しかし微量灌水を行うことで培地内の水分が均一になり根の全体に適量の水分状態を維持出来、灌水過多をなくします。
照度センサー
夜間の灌水を止めたい時は照度センサーを有効にします。
これにより夕方暗くなったらポンプの作動を止め、朝になると水分センサー、タイマーが作動するようになります。
発芽後の幼株の夜間徒長を防ぐ等にご使用になれます。
応用例
現在はれき太郎システムのポットにセンサーをセットしてトライアルを行っていますが、他の応用としてロックウール、ヤシガラなどを使用した溶液栽培にも転用可能か試して行きます。
ハウス土耕でもタイマーによる自動灌水やセンサーを併用した灌水管理も試して行きます。
本ユニットはDC12Vをコントロールし、出力はDC12Vとなっております。
したがってソーラーパネルとバッテリーを使うことで小さなビニールハウスで100V電源が無くても使用可能です。
また稼働ポンプが100V、200Vの場合はパワーリレーを使うことにより駆動可能です。