その前に、どんな栽培方法があるのか…
土耕栽培
メリット
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土さえあれば設備投資をあまり必要としない。
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昔から慣れ親しんだ農法である。
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土の微生物を生かした有機農法が出来る。
デメリット
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連作障害が起こりやすい。
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虫がつきやすい。
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台風、大雨など天候による影響が大きい。
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土作り、除草、水やりなどの管理が必要である。
水耕栽培
メリット
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連作障害が起こらない。
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土耕栽培に比べ成長が早い。
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肥料濃度、成分比率を調整できる。
デメリット
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溶液タンク、エアレーションの設備が必要である。
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容器上部に作物をセットするので溶液の交換に手間が掛かる。
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溶液タンクの上部に作物をセットするタイプだと直射日光等により溶液温度が上昇してしまう。
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水分量の調整が出来ない。
礫耕栽培
メリット
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連作障害が起こらない。
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土耕栽培に比べ成長が早い。
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肥料濃度、成分比率を調整できる。
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タンクの位置は任意に設置できるので溶液交換等の管理がやりやすい。
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直射日光を避けられるので溶液温度の上昇を防ぐことが出来る。
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水分調整が可能であり高糖度トマトなど栽培できる。
デメリット
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ハウスの設置、地盤の工事、溶液供給設備が必要である。
一般的な礫耕栽培について
礫耕栽培とは、容器に礫を入れ水や養分を管理して行う植物の栽培方法です。
農業施設では温室内の地面にU字状の溝を掘り、礫等の有機物を含まない砂利等の培地を入れ、溶液を点滴供給する栽培方法です。
一般的には設備が大きくなり液肥のを供給する装置等が必要なため一般家庭で行うには難しいですね。
一般家庭ではハイドロボールと言った礫をガラスポットに入れ観葉植物を育てる方法もあります。これも礫耕栽培の一種です。
礫耕栽培では近年フルーツトマトと称し、水分を制限した状態で栽培し高糖度トマトの栽培に用いられたりしています。
礫耕栽培のしくみ
礫耕栽培施設の構成としては礫が入った栽培ベッドがあり、肥料成分を溶かした溶液タンクからポンプでベッドまでホースや管で送られ、各植物の根元に点滴灌水します。
溶液はタイマーと流量調整で灌水量を調整するシステムが一般的でしょう。
灌水された溶液はそのまま回収しない非循環式と栽培ベッド下部から集水パイプや溝で溶液タンクに戻す循環式があります。
もっと手軽に礫耕栽培
礫耕栽培は土耕栽培の様に培地を使うため栽培できる作物の種類は水耕栽培と比較すると種類が多くなります。
また高糖度トマトなど水分を調整する作物も栽培可能なので優れた栽培方法だと思います。
水耕栽培もそうですが、培地のベッドや配管工事など手軽に始められるものではありません。
そこで庭先やベランダ等の限られた場所で出来、また誰でも簡単に始められるような物を考えてみようと独自の礫耕栽培システムの検討を行いました。
詳しくは礫耕栽培開発秘話に履歴を掲載しております。
●礫耕栽培システム
礫耕栽培に用いる培地を富士山の溶岩礫(火山礫でスコリアとも呼ばれる)を用いトマト、イチゴ、スイカ、白菜、キャベツ、レタスで栽培します。
溶液はポンプで送られタイマーで灌水のタイミングを管理します。
大変な水やりはタイマーで管理され外出時も安心です。
水量も調整できるので作物により水分調整が出来るため水分制限を行いフルーツトマトの栽培もチャレンジしてみましょう!
●土の代わりに溶岩の礫を使います
一般的には地面に穴を掘り、コンクリートで堀を作り礫等を入れ作物を栽培しますが、一般家庭でも礫耕栽培を行うには大掛かりな工事が必要となり現実的ではありません。
そこで一般的な植木鉢で溶液循環栽培をおこないます。
これでベランダでも礫耕栽培が可能となります。
栽培が終わった後の溶岩礫は洗って再使用出来るのでエコです。残土の処分に困りません。
パーライトやバーミキュライトも多孔質ですが、これらは土壌の中で浮かび上がる欠点があります。富士山の火山礫は軽石のように多孔質ですが鉄やマグネシウムを含む黒くて比重の高い玄武岩がその成分であり、かなり重くて硬いです。また、多少の踏圧で潰れることも無く多孔質の効果は長く持続します。
2ミリ以下の礫、砂になると保水性が高くなるため、2ミリから5mm程度の粒径を用いて、保水量は溶液灌水間隔と灌水時間で保水量を調整します。
●肥料は液肥を使います
溶岩礫は肥料成分を含みません。
作物を溶岩礫が入ったポットに液肥を流し養分を吸収させます。
液肥はタンクからポンプで各ポットに供給され、ポットの底から出た液肥はタンクへと戻ります。
水耕栽培用の液肥を使います。
液肥には作物に必要な窒素、リン酸、カリをはじめ中量要素、微量要素を含んでいるものを使用し栽培します。
●溶岩礫耕栽培のメリット
基本的に礫耕栽培は礫の間に空気が常に存在するので根腐れは殆ど心配はいりません。
しかし溶岩礫の粒の表面は常に水分で被われている必要があります。
DFT湛液水耕(完全水耕)と違うのは粒と粒の間にの空洞に空気がある状態になります。詳しく知りたい方は「DFT湛液水耕」で検索してみて下さい。
NFT薄膜水耕という栽培方式もあり、これは根の一部を見ずに浸さないで空気中から酸素を取り入れる方法です。
溶岩礫を用いた固形培地耕はDFT湛液水耕の根の接している面が容積に対し広くなります。
一般的水耕栽培装置
礫耕栽培装置
●培地中の根の状態
DFT湛液水耕(完全水耕)やNFT薄膜水耕がありますが、どちらも根の伸長は直線的になります。ちょうどラーメンのストレート麺のような感じです。
礫耕栽培で使われる礫は比較的大きな粒を用います。
その理由としては、礫の粒は容器内で不規則に並びます。その礫の粒が詰まった中を根が粒を避けながらジグザグに根が伸びていきます。ラーメンのちじれ麺のような感じです。
すると容器が小さいようでも根の量は維持できます。
根が容器が小さくても成長に必要な水分や養分を吸い上げることが出来る根量を確保できます。
ポットが小さすぎるのではと思われますが、成長できる理由です。
粒の空間に入り込んだ側根から根毛が効率的に養分、水分を吸収し育ちます。
6号ポット、キャベツの根の状態
拡大してみると毛根が伸びている様子が見られます。
溶岩礫を洗い流した状態です。
トマト(ももたろう)の根の状態です。
拡大
●テスト栽培結果
トマト(とってもアイコ)の状態
二岐栽培で左が4.5m、右が4.0m(6号ポット)
トマト(ももたろう8)を4号ポットで栽培テスト。
白菜(黄ごごろ)6号ポットで栽培テスト